医者は患者にウソをついてはいけない、と言われます。 でも、ぼくはつきます。 例えば、ぼくはエイズの患者さんを診ます。エイズは免疫力が落ちる感染症で、昔は不治の病、「死に至る病」でした。 でも、今は治療がかなり進歩し、薬を毎日飲み続けることによって病気が進行しない、免疫力が回復することができるようになりました。おそらくは、患者さんは外来通院をしながら一生を全うできるんじゃないかと期待しています(それが証明されるのは何十年後の話ですが)。 ところが、そのように治療法が劇的に進歩しても、どんどん免疫力が落ち続け、HIV(エイズの原因ウイルス)が体で増えてしまう患者さんがときどきいます。 なぜか。 こういう患者さんは、ごく一部の例外を除くと、2つに分類できます。